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日本道徳教育学会 神奈川支部
第14回 神奈川支部学習会
2017.6.3
於 國學院大學 たまプラーザキャンパス1号館 

 第14回学習会は、川崎市立鷺沼小学校の三ツ木校長先生と、南生田小学校の松澤教頭先生より、「二羽の小鳥」の授業を中心にした「道徳授業のポイント」についてお話いただきました。

14回となる学習会では、三ッ木先生、松澤先生から『道徳授業のポイント』について小学校1年「二わのことり」の授業実践発表を頂きました。【特別の教科】道徳のポイントの中から、『問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れ、指導方法を工夫する』という点に着目して、「二わのことり」を実践された報告でした。

 低学年の子どもたちが、主体的に道徳的問題を考え、協働的な話合いを行い、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う授業を試みるために、①導入の工夫②問題意識のある追求「自分ならどうする?」③問題の追求「いろいろな立場の気持ち」④問題の追求「子ども自身の考え」の4つを授業のポイントととして授業を実践されました。


 ①導入 みそさざいのさえずりの動画を見せること 

子どもからは「お話しているよ」「会話しているね」などのつぶやきが聞かれ、すぐにひきつけられていることが伝わりました。ひきつける導入により、子どもはみそさざいに好意を寄せ、教材へと感情移入することができました。

②問題意識のある追求「自分ならどうする?」

 「みそさざいさんは、どうしてうぐいすの家に行っちゃったの?」と、子どもはすでに自分事として考えていたので、共通のテーマ「みんなが、みそさざいさんならどうしますか。」では、様々な発言がありました。ペアでの対話では、「誕生日に行くよ。」「どうしてやまがらさんの家に行かないの。」というやり取りがありました。全体交流では「年に1回しかないのだから、やまがらの家に行くよ。」「いや、どちらにも行くと思う。」という対話がありました。松澤先生は、1年生という実態から、うぐいすの家とやまがらの家の距離感をつかませるために、「うぐいすの家はとても近くて、やまがらの家は電車で行くくらいだよ。」という声かけをされました。子どもたちは、どんなに遠くても「やまがらさんは待っているから行く。」と自分だったらどうするかと考えながら、対話していました。三ッ木先生は、ロールプレイングを取り入れ、全員がみそさざいになるために、紅帽子をかぶり、うぐいすの家での楽しい雰囲気(「だれだって誕生日」を歌う)を体感させました。うぐいすとやまがらの家の距離感をつかませるために、教室内を走り回ったということも授業の工夫と言えます。なお、ロールプレイングの際は、資料を持たせませんでした。

③問題の追求「いろいろな立場の気持ち」

 役割演技では、やまがらがうずくまっているところにみそさざいが向かい、やまがらはどんな気持ちだったのかを考えました。子どもからは「うれしくて泣きたいくらいだった。」「ハッピーだった。」と考えていました。

④問題の追求「子ども自身の考え」

みそさざいの気持ちで考えてきたので「やさしくしたことはありますか。」という問いをしました。子どもからは「やさしくすると、ありがとうと言われてうれしかった。」という発言などを通して、子どもたちはワークシートに自分の考えを書くことができました。

〈評価について〉

評価についてもお話いただきました。評価の方法としては、パファーマンス評価(行動、発言、表情やつぶやき、絵や文など)ポートフォリオ評価(道徳ノート、動作化、役割演技など)で評価していく必要があることを教えて頂きました。

質疑

◇「深い学び」とは?

 自分だったらどうしていきたのかを考えるために、主人公の姿を借りて話し合う

“主人公ってどう思う?”と問うことが大切今回の提案で言うと「やまがらさんは、どんな気持ちだったと思う。」と投げかけ、相手の気持ちを考えることが大切

◇“うしろめたさ”についての問いかけは?

「うぐいすにも声をかけて、みんなでやまがらの家に行く。」と言った子どももいた。うぐいすにもやまがらにも悪いので、そーっと抜け出すといううぐいすへのやさしさも考えていた。

自分自身の経験を話す子どももいた。(友だちの誕生日が重なってしまい、自分では決められず、母親に決めてもらったこと。)

◇“何かしてあげたこと”と、みそさざいの気持ちの結びつきについて

 核となる文章は掲示して示した
 みそさざいさんと同じような経験=どちらの友だちにもやさしくしたみそさざい。
色々な価値が混じってくるので、授業者が価値を知ったうえで授業をするべき



                                      次回の学習会も、お楽しみに。
   
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 「道徳授業のポイント
             
講師 三ツ木 純子 先生 <川崎市立鷺沼小学校長> 
                    松澤 ゆかり 先生
  <川崎市立南生田小学校教頭>