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日本道徳教育学会 神奈川支部
第22回 神奈川支部学習会
2019.6.1
於 國學院大學 たまプラーザキャンパス

 令和になって最初の学習会です。今回は、横浜市立本町小学校の手塚裕美子先生をお招きして、「学習状況と道徳性に係る成長の様子の見取り」をテーマに、学級目標を活用し自分達の生活と関連付けた道徳科の授業実践をご紹介いただきました。 

学 年:第1学年
主題名:だれにでも同じに C 公正、公平、社会正義
教材名:「おおい? すくない?」 

 授業前に国語科の学習や、朝の会や帰りの会での「よいところみつけ」と関連させ、クラスの中にはいろいろな人がいることに気付き、誰にでも同じような気持ちで接しようとする気持ちを児童にもたせました。

また、学級目標「はなまるれいんぼう」やワークシートを活用し、「みんなは なかよしはなまるれいんぼうになれるかな?」と問いかけ、日常での自分の姿を振り返らせました。毎日ワークシートを回収し児童の成長の様子を継続的に見取りました。振り返りの取り組み当初は、「友達にえこひいきをしていない」と書いていた児童らも、掲示物やワークシートを見直すにつれ公正、公平に接していない場面に徐々に気付き問題意識を高めることができました。
 特に、日常的にありがちな場面についてのワークシートを作成したことが効果的でした。普段の自分の行動を振り返ることにつながり、内容項目への意識化が図れました。自覚がなかった児童が少しずつ自分を見つめられるようにもなりました。

 授業中は、教材の登場人物の姿から「今、はなまるれいんぼう?」と問うことで、教材と関連させて考えられるようにしました。また、「わたしもりすさんみたいなことがあったよ」などと、児童が教材の登場人物に語りかける場面を位置付け、教材の場面と日常での自分の姿を重ね合わせることをねらいました。

 研究協議では、「内容項目の視点によっては、学級目標を授業と関連させることが難しいこと」や「授業のねらいによっては役割演技を位置付けることも考えられるのではないか」「児童一人一人を見取るために道徳ファイルを活用していること」「教材があるからこそ児童は自分をさらけ出すことができること」「単に何かと何かを繋げればカリキュラム・マネジメントになるのではなく、児童の『今ここでの学び』の重視をしなければならない」などの意見が出されました。
 また、役割演技についても話題に上がりました。低学年では言語化する前の感情を育てる意味で実際に行動化した方が自分事として考えられるのではないかという意見。ワークシートで事前に自分の行動を見つめているので、本時では話し合いだけで、自分事として考えられるのではないかという意見など、授業について多様な考え方が出て、参加者の考えも広げる意味でも有意義な時間になりました。

 評価については、子どもたち自己評価する活動にもつなげていて良かった。道徳の評価は、書いたものだけではなく、児童の反応や普段の見取りをつなげて評価することが大切であろう。丁寧に色々なものを関わらせて見ていくことが大切だろうという意見も出ました。

 そして、今後は学びの総合化として、子どもたちの主体的な学びを保証するためにも、実効性のある道徳をしていかなければならない。自分自身を価値づけられる、自分自身を対象化して見ていけるような授業を目指していきましょう。自分事の学びをどう作っていくかが課題です。という支部長のまとめで、第22回学習会も有意義に終了することができました。 活発な意見交流により学びをたくさん得ることができました。

 ★今回の学習会については、事前に配布しましたフライヤーに、15:30との
  記載があり、その時間にいらした方に大変なご迷惑をおかけしてしまいました。
  本当に申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます。



次回の学習会は、9月7日(土)に行われます。
ぜひお越しください。
    

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           「 学習状況と道徳性に係わる成長の様子の見取り

 手塚 裕美子  先生<横浜市立本町小学校教諭>