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日本道徳教育学会 神奈川支部
第24回 神奈川支部学習会
2019.11.30
於 國學院大學 たまプラーザキャンパス

           「 ねらいの設定と教材とのかかわり 

        
杉戸 美和  先生 <横須賀市教育委員会教育研究所主査指導主事>
         村田 真友子  先生 <横須賀市立不入斗中学校教諭>
        藤平 克実  先生 <横須賀市立不入斗中学校教諭

 令和元年1130日に横須賀市教育研究所の杉戸美和先生、横須賀市立不入斗中学校の村田真友子先生、横須賀市立不入斗中学校の藤平克実先生をお招きして、第24回神奈川支部学習会を開催しました。「ねらいの設定と教材とのかかわり〜子どもにより深く考えさせるために〜」をテーマに3人の講師の方々に具体的な実践をしていただきました。以下、主な提案をご紹介致します。

<藤平先生
   不入斗中学校では、全校で道徳ノートの活用に取り組んでいる。  道徳の授業だけでなく、集会の振り返り、日常生活で思ったことをかせている。道徳ノートの作成にあたり以下の工夫を行った。

  ①道徳の内容項目22項目を『道徳で考える心』として載せ、生徒も
   教員も授業や学校教育全体で意識できるようにした。

  ②発問を記入しない道徳ワークシートのページを用いて、教員が自
  由に使えるように工夫した。また、道徳の授業の振り返りを記入さ
  せることで、教員が次の授業づくりに生かせるようにした。また、記
  述が苦手な生徒には型を示すことで、書けるような工夫もしている。

  ③前期・後期の振り返りでは、道徳の授業の中で一番印象に残って
   いることを記述させたり、授業を通してなりたい自分を想像させるな
   ど、評価にもつながられるような工夫をした。

④集会等の振り返りも書けるようにし、生徒の「心の記録」とした。

⑤日常生活において心が動かされた場面を記入させることで、S H Rなどで話題にしたり、各学年のフロアに掲示することで、子どもたちの見方や考え方が広がるような工夫をした。

 実践を積み重ねた結果、「道徳で考える心」を意識して生活することができたり、自己肯定感の低い子ども達が、自分の良さを感じられたりするようになった。


<村田先生>

「自分と向き合う」という小単元のテーマを掲げ、中学校第1学年にて3時間の道徳科授業を行った。第1時は、教材『この人生の主人公』を用いて「自立心、自律性」について考え、第2時は、教材『目標は小刻みに』を用いて「目標を設定し着実にやり遂げる」について考え、第3時は、教材『裏庭のできごと』を用いて「自律的な行動と責任」について考えた。

 追求する学習課題を設定する場面では、登場人物の人間関係を理解したうえで、生徒に感想を発表させ、どの登場人物に注目し、何を考えたいのかを決定していった。

 また、従来のグループワークでは、お互いの考えを発表し合うのみのものであったが、自分の考えを発表した後に「質問ありますか?」とグループの聴き手に問いかける工夫を行った。その結果、それ以前は活発な発表が行われないクラスにおいて、自分の考えを積極的に全体で交流し合う姿が見られた。

<杉戸先生>

 授業の手立てに脚光を浴びせすぎず、ねらいを見失わないことが重要である。授業のねらいを設定するために、まずは子どもの実態を把握し内容項目の解釈を行う。そして、子どもに何を考えさせ、学ばせたいのかを明らかにした上でより具体的に教材の内容を踏まえてねらいを設定していく。

 また、「子どもにより深く考えさせるため」には、生徒同士に対話が成立していることが前提となる。ただ言い合っている、発表し合っているだけでは対話が十分成立しているとは言い難い。自分の考えと比べ質問することが、自分の考え方に気が付くきっかけとなり深い学びとなる。














次回の学習会は、2月29日(土)に行われます。
ぜひお越しください。
    

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