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平成31年4月27日(土)國學院大學たまプラーザキャンパスにおいて、日本道徳教育学会 神奈川支部道徳フォーラムが開催されました。


第Ⅰ部 2019年度神奈川支部総会

まず田沼支部長より、「道徳科が全面実施となり、ターニングポイントになっている。他県からも本日は多くの方が参加している。有意義な時間にすると同時に、交流の輪を広げていき、教育関係者が一致団結し今後の道徳教育を盛り上げていきましょう。と開会の挨拶がありました。
 議事は、参加者の方々のご協力があり、滞りなく進行いたしました。会計に関して担当より、「収入に対して支出が少ない件は、さまざまな支援があり活動が成り立っている現状です。しかし、今後どのような状況になるかはわからないので、活動が継続できるようにしていることをご理解いただきたい。」と説明がありました。
 そして最後に、仲川理事からの「令和の時代になり道徳教育がますます熱を帯びていくと思われます、この学会からも熱を発信していきたいです。」との閉会の言葉で総会は終了しました。

第Ⅱ部 模擬授業・鼎談

【模擬授業】

授業者:吉野剛史先生(横浜市立南太田小学校教諭)
 主題名:親友だから C 公正、公平、社会正義
 教材名:だれからかこうかな(出典:「かがやけみらい 2年 学校図書」)

横浜市立南太田小学校の吉野剛史教諭による模擬授業は、15名ほどの国学院大学や横浜高等専門学校の学生を児童とみなし、小学校低学年を想定した内容で実施された。
 模擬授業の内容は、「子どもの変容を見取る授業の工夫」をテーマとし、公正、公平、社会正義について、読み物教材を活用し、「だれとでも同じように関わるには、どんな考えが必要か」という学習課題のもと展開された。親友と親友ではない友人との間で、対応に迷う主人公へのアドバイスとして、児童役の学生たちからは、具体的な行動例が、活発に述べられた。そこから、どのような考え方が大切であるかということについて焦点が絞られた。また子ども自身が本授業を振り返る手立てとして、主題とする道徳的価値について、スケール表を用いて、授業の展開始めの方で今の自分の考えを振り返る場面と、後半で、今の自分に必要な考え方を振り返る場面が設定されていた。

 模擬授業後の会場からの質疑では、授業者の発問や問い返しの言葉など、かなり授業展開に踏み込んだ活発な質疑応答のやり取りがなされ、本授業を更に掘り下げて考えることができ、これを基に道徳の授業の在り方について、会場の参加者とともに考える良い機会となった。

【鼎談】「道徳科全面実施への期待を語る」

登壇者:木村元彦先生(山北町教育委員会教育専任指導員)
     菅野由紀子先生(全日本中学校道徳教育研究会会長)
     富岡栄先生(麗澤大学准教授)
司 会:田沼茂紀先生(國學院大学教授)

富岡栄先生
 ・道徳科の授業づくりは型にとらわれ過ぎないことが重要である。ある決まった土俵で話されると他の人
  が入れなくなってしまうため。
 ・「教材」「話し合い」「道徳性の育成」が道徳科授業の要諦である。特に「道徳性の育成」がメインである。
  板書や発問の仕方も様々であるが、道徳性の育成に結び付いているのかが重要である。
 ・評価は「学習状況」と「道徳性に係る成長の様子」を見ていく。学習状況は「真剣に考えている」「挙手を
  している」などの「一般的な学習状況」と「多面的・多角的」「自分事」という「道徳科の特質に根差した
  学習状況」に分けられる。
 ・道徳科授業の質を改善していくためには、教師は「この発問でねらいに近づけたのか」などをしっかり
  と見とっていく必要がある。また評価の観点を明確化していき、子どもにも授業の感想を聞いてみる
  こともあり得る。

木村先生
  小学校道徳科全面実施から1年を終えて以下の振り返りが必要だと考える。
  ● 道徳教育と道徳科の混同はないか。
  ● 道徳性というキーワードが理解されているか。 → 道徳科では、内面的資質を育成する。
  ● 考え議論する道徳の捉えやその基盤を認識しているか。
       →ペア学習やグループ学習をやれば対話的な学びになると安易に考えてはいけない。
  ● 教科になったことによる成果と課題はどうか。
       →質的・量的改善はしっかりとできているが、評価の方に目がいきすぎている。
  ・年度末に先生方に「学校教育目標に基づいてどんな内容項目が大切だと思いますか?」とアンケ
   ートを取ることで、学校や児童・生徒の実態把握を行うことができる。
  ・全校のスタンダードがあることで、協議会での話し合いが充実したり、教員の自信が付いてきた
   りする。その後、各教員が創意工夫していくことが可能である。

菅野先生
  ・「道徳の授業に自信がない」「今までの道徳ではいけないのか」「心の有様を評価できるのか」とい
   った不安の声が聞こえてくる。
  ・「深刻ないじめ問題」「子どもを取り巻く地域や家庭の変化」「自己肯定感や社会参画への意識の
   低さ」「情報通信技術の発展と子どもの生活」などの社会の現状があるため、道徳教育への期待
   が増している。
  ・道徳科の指導では「考えてみたくなる発問があるか」「発言ができる雰囲気があるか」「発見・感動
   ・気づきがあるか」などの見直しが必要である。
  ・評価は授業の裏返しである。「意識が変われば見方も変わる 見方が変われば授業も変わる
   授業が『評価』に結びつく」
  ・「ペーパーレス化の職員会議」などを通して子供達の教育に時間をかける。
  ・道徳地区公開講座などを通して道徳をオープンにしていくことが大切。
  ・道徳科の授業で悩む人には、導入から終末で1番生徒に考えさせたいことをもって授業づくりに励
   んでいって欲しい。

  時間を忘れるほどあっという間の4時間でした。模擬授業の研究協議でも、鼎談の時にも、フロアからの活発な意見に、研究が深まりました。

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 今年度の道徳科へも大きな期待が持てると感じた 道徳フォーラム2019 でした。


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平成31年度 日本道徳教育学会 神奈川支部総会
道徳フォーラム
2019.4.27
於 國學院大學 たまプラーザキャンパス 1号館